武蔵野音大などへの進学を考える方に

■音大へ進学したい方が考えるべきこと

音大を進路の選択して考えるのは、どんな時でしょう?

子供が幼稚園や小学校低学年の頃から始めた習い事の一つだったものが、10代になっても好きでやめないうちに、ちょっとしたコンクールで入賞したり、表彰されたりするようになり、段々と本気で進路として考え始める場合。

中学の部活動が合唱部やブラバンだったことから、進路の目標とするようになる、ということもあるでしょう。
特に親御さんも近しい方にも音大出身者がいない場合は、この2つのパターンが非常に多いようです。

逆に親自身が音大卒で、自分の子供にも習わせる―というパターンも、昔からよくあるものです。
まず、多少なりとも音楽家として一定の収入を確保できるレベルに成長する前提で考えると、家庭環境は、非常に重要です。

例えば、多くの「本当にいい、国際的に最高レベルの演奏を生で聴く」という経験=コンサートやリサイタルを聴きに行く経験は、若い時こそ絶対的に必要です。

ここで誰のコンサートを聴くべきなのか自身で選別でき、場合によっては有名音楽家から招待券ももらえるような家庭と、そういう選別眼を持ちえな家庭との環境面での差は、残念ながら無視はできません

なお、特にヴァイオリンとピアノは、親もしくは近い親戚の方などが武蔵野音大などの有名音大卒である方が圧倒的に優位です。
幼い時から、練習についても無駄のないサポートが出来ますし、早い段階で著名な先生方に見て頂く道筋もつけることができます。

■ヴァイオリンとピアノは家庭環境が重要な理由とは?

では、何故この2つの楽器については特に家庭環境が重要なのでしょうか。

まず、どんな専攻であっても、海外の著名音大(大学院)を優秀な成績で卒業すること、著名な先生(できれば複数)の弟子であること、そして国際コンクールで賞を取っていること―この3つが揃うことは必須です。

中でもヴァイオリンの場合、クラシック音楽のソリストとして生きていくことを目指すのならば(クラシック音楽でない場合は、この限りではありませんが)、10代で大きな国際コンクールで上位入賞することは最低限の条件になると言って過言ではありません。

10代でここまで到達できるためには、逆算して考えて頂くとわかると思いますが、小学生で「将来もしかして音大行こうかな」程度では、もう遅すぎるくらいなのです。

しかも、弦楽器は楽器(本体と弓の両方)のレベルも高くないと、自身の音楽的&技術的向上が阻害されますし、コンクールやオーディション、試験の類での評価も低くなってしまうので、子供が幼いうちからどんどんとより良い楽器を与えていく覚悟を「親も」決めなければならないのです。

それだけではありません。
人の前で演奏する場合、ヴァイオリンがたった一人で演奏できる曲は、重要レパートリーの中の一部に過ぎません。

古典派以降の重要作品は、ほとんどがヴァイオリン&ピアノのデュオ(=二重奏)です。

普段の練習の段階からピアノと一緒に弾く場を多く経験している子と、たまにしか体験できない子では、大学生になる頃までには、既に実力面でも恐ろしい差がついてしまう可能性が高いわけです。

なお副科ピアノというものがピアノ以外の専攻の人は全員必修になるのでピアノもなるべく早いうちから習い始めることが必要となります(入試でも必要になります)。

■ピアノも親の経済力とバックアップが必要不可欠

ピアノの場合は、国際コンクールでの賞をとる年代はヴァイオリンほどまで厳しくはありません。

ただ、練習場所としてしっかりとしたグランドピアノを置けて、音量について全く気兼ねする必要のなく、しかも音響面できちんと考慮された部屋が確保できるかどうか、は非常に重要です。

また、いいピアノを買うだけでなく、定期的な丁寧な調律も非常に重要です。
こうした事柄は、全て手間とコストがかかりますが、「子供の練習に口を出す前に」親が確実に引き受けるべき最低限のポイントです。

つまり、ヴァイオリンとピアノは、親が元々専門にしていれば、こういう環境もある程度最初から整っているものなので、負担の程度も限定的にはなってきますが、そうではないご家庭の場合は、初期投資の段階から親が腹を括る気がないと、子供にとっては一気に環境面からくる損なポイントが増えてしまうということです。

なお、ヴァイオリンとピアノ以外の専攻の場合であっても、留学&著名な先生&国際コンクール、という部分は基本的に避けて通れません。
つまり、日本での高等教育終了時までの学費を計算しておくだけでは、確実に将来目算が狂います。

クラシック音楽の世界は、優秀であればあるほど返還不要の奨学金などの選択肢が増え、著名な音楽家の側からの門戸も大きく開かれてきます。
逆に、そのレベルに達しないと判断されると問答無用で扉がしまっていきます。

ただ、コンクールやオーディション、試験などでふるいにかけられ、跳ねのけられたとしても、あなたが本当にいい演奏をしたのなら、必ずその場にいた誰かが、後でこっそり「いや、自分はあなたの演奏は良かったと思う」「あなたがこういう結果になるなんて納得できない」と向こうから声をかけてきてくれます。

その声を励みにして、次はもっと完成度の高い演奏をしてください。
きっと道が拓けます。